行動経済学者 ダニエル・カーネマン が提唱した「ファスト&スロー」の思考モデルは、
単なる心理学の話ではなく、ホームページ制作そのものの設計思想として非常に相性がいい理論です。
特に、
「なぜ見られているのに問い合わせが増えないのか」
「デザインは整っているのに、なぜ伝わらないのか」
という悩みを抱えるサイトほど、この理論を理解する価値があります。
ファスト思考(システム1)とスロー思考(システム2)
カーネマンは人間の思考を、次の2つに分けました。
-
ファスト思考(システム1)
直感的・自動的・感情的。
ほぼ無意識で瞬時に判断する。 -
スロー思考(システム2)
論理的・熟考的・意識的。
エネルギーを使い、時間をかけて判断する。
重要なのは、
人はほとんどの時間、システム1で生きているという点です。
これはホームページ閲覧時も、例外ではありません。
ユーザーは「考えながら」サイトを見ていない
多くのホームページは、無意識のうちに
「ユーザーはちゃんと読んでくれる」
という前提で設計されています。
しかし現実は逆です。
-
最初の数秒で「自分に関係あるか」を判断
-
分からなければ即離脱
-
読解ではなく“印象”で評価
つまり、最初に動いているのは100%ファスト思考。
ここを無視したサイトは、
どれだけ正しい情報を書いても届きません。
ホームページ制作における「ファスト思考」設計
ファスト思考に刺さる設計とは、以下のような要素です。
-
ファーストビューで
-
誰のためのサイトか
-
何を提供しているか
-
何が他と違うのか
が一瞬で分かる
-
-
見出し・余白・配色で
「読む前に意味が伝わる」 -
専門用語より、日常語・比喩を優先する
ここで大事なのは、
正確さよりも“誤解されないこと”。
ファスト思考は論理を検証しません。
「それっぽい」「分かりやすい」「安心できそう」
この感覚がすべてです。
スロー思考は「納得したい人」だけが使う
一方、スロー思考が発動するのは、
-
比較検討している
-
本気で問い合わせを考えている
-
金額・リスクを意識している
こうした段階に入ったユーザーです。
この層に対しては、
-
理念・背景・ストーリー
-
実績・事例・数字
-
制作プロセス・考え方
といった論理と一貫性が求められます。
よくある失敗は、
スロー思考向けの情報を、いきなりトップに詰め込むこと。
それは、
「まだ考える気がない人」に
「考えさせようとする」行為です。
ファストで入口をつくり、スローで決断させる
カーネマン理論を踏まえたホームページ設計は、
次の流れを意識します。
-
ファスト思考で足を止める
-
見た瞬間に「自分ごと化」させる
-
-
ファスト思考で安心させる
-
雰囲気・トーン・一貫性
-
-
スロー思考で納得させる
-
理由・根拠・比較材料を提示
-
-
行動をシンプルに提示
-
迷わせないCTA
-
この順序を崩すと、
ユーザーはスロー思考に入る前に離脱します。
ホームページ制作とは「思考の導線設計」である
カーネマンの理論をホームページに当てはめると、
制作とは単なるデザインや文章ではなく、
「人間の思考モードをどう遷移させるか」
を設計する仕事だと分かります。
-
どこは考えさせないか
-
どこで初めて考えさせるか
-
どこで決断させるか
これを意識しているサイトは、
派手でなくても、確実に成果を出します。
まとめ:いいサイトは、ユーザーに「賢さ」を求めない
行動経済学的に見ると、
「分かりにくいサイト」は
ユーザーが賢くないのではなく、
設計側が人間を理解していないだけです。
ファスト思考を尊重し、
スロー思考を正しく使ってもらう。
その積み重ねが、
問い合わせにつながるホームページをつくります。
ZOOTRIPPERが重視しているのは、
見た目よりも、
人の思考に沿っているかどうか。
ホームページは、
説明する場ではなく、
「理解してもらうまでの最短距離」を設計する場です。