ウェブサイトにおける動画コンテンツとブログの役回り

今、動画コンテンツ全盛の時代である。

長尺から10秒前後のショート動画まで、様々なコンテンツが手軽に作れ、発信できるようになった。
その一因としては急速に発展した通信環境。動画を作るためのスキルのコモディティ化(アプリやソフトでほぼワンタッチで生成される)
安価に一昔前なら数十万かかるような撮影環境が10万円以下で手に入ること(優秀な手ぶれ補正付きの4K動画が撮れるiPhoneの登場)

これらの要因がそろったことで爆発的に動画コンテンツが増えた。
動画コンテンツが増えたことで旧来メディアの需要が減ると予測された。

主に文章。つまりブログメディアだ。

つまるところ結局はユーザーの可処分時間の奪い合いであり、今までパイの少なかった動画コンテンツに時間を奪われ活字を読む時間が減っていくという考え方だ。

しかし、僕はこの考え方に懐疑的である。

そもそも「活字」と「動画」では需要が若干違う。
テレビが誕生しても書籍がなくならないように、本が好きな人間は動画が流行っても本を読む。
まず、一定数流行や時流に流されない層がいる。

そして、動画と文章では互いに得手不得手がある。

動画は視覚と音声によって文章では伝えきれないことを一度に大量かつ正確に伝えることができる。
更に組み合わせることで魅力的な映像作品やユニークな動画、ショッキングなコンテンツもつくることができる。
しかし一方で自分が求めている情報が否かについては一瞬で判断することは難しく動画を一通り見る必要がある。
また音声が聞ける視聴環境でなければ十分にコンテンツを享受することができない。
基本的にディスプレイ環境と通信が必要である。

一方、文章は斜め読みをすることで必要な情報を抽出することが可能である。またテキスト検索で必要なキーワードを見つけることもできる。
書籍は電源やディスプレイ環境を必要とせず様々な状況で情報を取得することが可能である。
一方、動画のように映像や音声をつかった表現ができないので美味しい食事や迫力の景色などは動画に及ばない。

おそらく動画の得意分野に関しては、今までブログメディアに代替される部分はあるだろう。
しかし完全に取って代わるにはあまりにも性質が違う。

ウェブディレクターとしてサイト運用の話をクライアントとしていると
自社発信を文章にすべきか動画にすべきかという相談をうけることがある。

この際、必要な考え方が
「自社におけるターゲットの性質」と「自社サービスの性質」だ。
例えば若年層向けのスポーツジムが商材の会社の場合、文章よりも能動的かつ視覚的に伝えることができる動画との相性は良い。
僕のような制作系の会社の技術解説やノウハウ共有であれば今書いているようなブログの方が伝えやすく作成コストも安価だ。

ターゲットにおいても、年齢や想定される情報収集の環境によって策定する必要がある。
社内で情報を見る可能性の高いBtoBの事業の場合、動画コンテンツを再生するのは少し抵抗があるが、ブログコンテンツであれば問題ない。
また、動画コンテンツは複雑なものになると撮影・編集のコストと難易度が高くなる。
慣れると1500文字程度のブログなら1時間程度で書けるが、動画コンテンツするとテロップ、BGM,効果音、撮影(リテイクも含む)など下手すると半日かかってしまう。

動画コンテンツはあくまでサクッと撮れてアプリに放り込めば一瞬でそれっぽく編集してくれることに最大のメリットがある。
長文の複雑な説明や論理展開が必要な場合は、動画化するのはなかなか面倒になる。

かといって、撮りっぱなしのテロップ無しの無編集の動画は相当喋りが上手くないと1分も見れない。

このへんの性質を理解した上で文章か動画かの判断を行う必要がある。

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