価格戦略のカギを握る!価格弾力性とプロダクトライフサイクルの深い関係

価格戦略を考えるうえで欠かせない概念が「価格弾力性」と「プロダクトライフサイクル(PLC)」です。この2つは単体でも重要なフレームワークですが、実は密接に関係しており、製品の成長フェーズに応じて価格弾力性の影響度も大きく変化します。

この記事では、Webディレクターやマーケターにとって必須の知識である価格弾力性とPLCの関係をわかりやすく解説します。

価格弾力性とは?

価格弾力性(Price Elasticity of Demand)とは、価格が変化したときに需要(販売量)がどれだけ変化するかを示す指標です。

価格弾力性の数式: 価格弾力性 = 需要の変化率 ÷ 価格の変化率

たとえば、商品の価格を10%上げた結果、売上が20%落ちた場合、価格弾力性は -2。つまり、価格に敏感(弾力性が高い)ということになります。

価格弾力性は、製品の種類やブランド力、競合状況、ターゲットの価格感度によって異なります。

プロダクトライフサイクル(PLC)とは?

プロダクトライフサイクルとは、製品が市場に投入されてから消えていくまでの一連のステージを表すマーケティングの基本概念です。4つのステージに分かれます。

導入期(Introduction):市場に初めて登場し、認知を高める段階

成長期(Growth):需要が急増し、競合が増えてくる段階

成熟期(Maturity):市場が飽和し、売上がピークに達する段階

衰退期(Decline):需要が減少し、製品がフェードアウトする段階

各フェーズでは、価格戦略の取り方も大きく変わってきます。

価格弾力性とPLCの関係とは?

それでは、本題である「価格弾力性とPLCの関係」について、各フェーズごとに解説していきます。

導入期:価格弾力性は低め、高価格でも勝負しやすい

新製品が市場に初めて登場する導入期では、ユーザーはその価値やベネフィットをまだよく理解していません。競合が少なく、比較対象もないため、価格弾力性は比較的低くなりがちです。

このフェーズでは、以下の2つの戦略が有効です:

スキミング価格戦略:高価格から始めて、徐々に下げる

ペネトレーション価格戦略:低価格でシェアを取りにいく

スキミング戦略は、ブランド性や技術革新のある製品に有効で、価格感度の低い「アーリーアダプター」に訴求します。

成長期:価格弾力性が高まり、競争が激化

需要が拡大し、多くの企業が参入してくる成長期では、比較対象が増えるため価格弾力性が上昇します。つまり、少しの値上げ・値下げが売上に大きく影響するようになります。

この時期に必要なのは:

価格競争への備え(コモディティ化に注意)

差別化ポイントの明確化(ブランド、機能、体験など)

特にWebサイトでは、価格比較ツールの存在により消費者の価格感度が高まるため、価格設定や見せ方が売上に直結します。

成熟期:価格弾力性がさらに高くなるが、ブランドで差が出る

市場が飽和し、競争がピークを迎える成熟期では、価格が主要な差別化要因になりがちです。価格弾力性は非常に高くなり、ユーザーは「より安いもの」へと流れやすくなります。

この段階でのポイント:

ブランド力やユーザー体験で価格弾力性を下げる

ロイヤルユーザー向けの付加価値を提案

サブスクリプション化やセット割など価格感度の緩和策を導入

価格を下げすぎると利益が圧迫されるため、価値の「再構築」がカギになります。

衰退期:価格弾力性は低下、安くしても売れない

市場の関心が他の製品に移る衰退期では、価格をいくら下げても需要が戻らないケースが多く、価格弾力性はむしろ低下します。

このフェーズでは:

製品の終売計画を立てる

既存ユーザーへの限定販促(在庫処分など)

ブランド資産の転用(派生商品など)

利益を守るためには、撤退戦略も視野に入れた価格管理が必要です。

Webマーケティングでの活かし方

Webサイトの戦略でもPLCと価格弾力性は密接に関係します。

導入期:LPで価値訴求を強化し、価格に対する不安を解消

成長期:競合比較コンテンツやQ&Aを強化し、価格以外の価値を伝える

成熟期:会員プログラム、ロイヤルユーザー育成コンテンツ

衰退期:リマインド施策やクロスセルによる売上維持

 

まとめ:価格戦略はライフサイクルとともに進化させる

価格弾力性とプロダクトライフサイクルを掛け合わせて考えることで、「いつ・どれくらい・どうやって」価格を動かすべきかが見えてきます。

ポイントは以下の通りです:

導入期:価格弾力性は低め → 高価格戦略も可能

成長期:弾力性が上昇 → 価格競争が激化

成熟期:弾力性ピーク → 差別化による価格感度の緩和が重要

衰退期:弾力性は鈍化 → 価格戦略より撤退・転換戦略へ

Web戦略においても、これらの考え方をベースに価格表示や訴求方法を変えていくことで、収益最大化の道が見えてきます。

価格は単なる「数字」ではなく、ユーザー心理と市場の流れを映し出す「鏡」です。常にライフサイクルに応じた最適解を模索しましょう。

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