そのブランドに“人間らしさ”はあるか?──顧客を惹きつけるブランドパーソナリティの設計術

ブランドパーソナリティとは?

ブランドパーソナリティとは、ブランドがまるで人間のように持つ“性格”や“人格”を意味する概念です。

たとえば…

  • スターバックス:知的で落ち着きのある都会派

  • ナイキ:情熱的でチャレンジ精神旺盛なアスリート気質

  • IKEA:親しみやすく実用的、合理的で温かい

ユーザーがブランドに対して「このブランドは○○っぽい」と感じるその“○○”こそが、ブランドパーソナリティです。


なぜブランドパーソナリティが重要なのか?

ユーザーは機能や価格だけで商品やサービスを選んでいるわけではありません。共感・信頼・憧れといった感情要素も大きく影響します。

特に競合が多い市場では、ブランドの“人間性”こそが選ばれる決め手になります。

  • 無機質な情報発信をしていないか?

  • 顧客との会話が成立しているか?

  • ブランドの性格は明確に設計されているか?

人格あるブランドは、感情的なつながりを育てる力があります。


ブランドパーソナリティの5つの基本的な類型(Aaker理論)

アメリカのマーケティング学者、ジェニファー・エイカーが提唱した「ブランドパーソナリティの5次元分類」は、ブランド性格を理解する上で基本となります。

① 誠実(Sincerity)

誠実で親しみやすく、信頼できる印象
例:キユーピー、無印良品

② 興奮(Excitement)

活発で刺激的、最新トレンドに敏感
例:ナイキ、レッドブル

③ 能力(Competence)

知的で頼りがいがあり、パフォーマンスが高い
例:トヨタ、Apple

④ 洗練(Sophistication)

上品で魅力的、高級志向
例:CHANEL、Audi

⑤ 頑強(Ruggedness)

たくましく男らしい、アウトドア志向
例:THE NORTH FACE、ジープ


ウェブ制作におけるブランドパーソナリティの実装ポイント

■ トーン&マナー(Tone & Manner)の統一

テキスト、写真、色使い、UIすべてに人格を宿らせる。

例:

  • 誠実タイプ → 柔らかい色味・明快な文章・親身な文体

  • 興奮タイプ → 鮮やかなビジュアル・短く勢いのある文・動的UI

■ コピーライティングに性格を持たせる

言葉のリズムや語彙選びにブランドの“キャラ”を反映させましょう。

例:

「お手伝いします」vs「一緒に挑戦しよう」vs「任せてください」

■ ペルソナとブランドパーソナリティの整合性

ターゲットユーザーの性格と、ブランドのパーソナリティがズレると共感は生まれません。

NG例:

30代女性向けの癒し系スキンケアなのに、体育会系ノリの言葉づかい


ブランドパーソナリティを設計する3ステップ

1. ブランドの核(ミッション・ビジョン)を明確にする

何のために存在し、誰をどう変えたいのか?

2. ターゲットの感性・価値観を理解する

共感を呼ぶには、相手の“言語”を話す必要がある

3. 実際のコミュニケーションに人格を落とし込む

広告、SNS、メール、サポート対応…
あらゆる接点で一貫したキャラクターを保つこと


実例紹介:ブランドパーソナリティ成功企業

◆ スターバックス

「知的で共感力の高い友人のようなブランド」
→ ウェブや店内の言葉選び、サステナビリティへの取り組みまでトーンが統一

◆ バルミューダ

「ミニマルで創造的なエンジニア気質」
→ 製品だけでなく、説明書・サイト・広告に至るまで知的な美意識を感じさせる


まとめ:人格あるブランドは“記憶に残る”

  • 商品ではなく「人」として覚えられるブランドが強い

  • ユーザーに“語りかけられている感覚”を与える設計が大切

  • ウェブやデジタル領域でも人格の一貫性が求められる

ブランドの個性を設計することは、ビジネスを“感情のつながり”で成長させるための戦略的投資なのです。

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