「他社とどう違いを出すか?」「どうすれば選ばれるブランドになるか?」
マーケティングやウェブ戦略で常につきまとうこの問いに答えるために、ぜひ理解しておきたい概念が「差別化」です。
この記事では、特に重要な2つの差別化「水平的差別化」と「垂直的差別化」について、実例も交えてわかりやすく解説していきます。
差別化とは何か?
差別化とは、競合と異なる“価値”や“特徴”を打ち出すことで、顧客に「この商品(またはサービス)を選ぶ理由」を提供する戦略です。
差別化には大きく2種類あります:
水平的差別化(Horizontal Differentiation)
垂直的差別化(Vertical Differentiation)
この2つは、似ているようで本質的に異なる戦略です。
水平的差別化とは?
水平的差別化とは、「性能や価格は同じくらいだけど、好みや趣向で選ばれる違い」を指します。
簡単にいえば、「どちらが上かではなく、どちらが好きか」で選ばれるような差です。
例えば:
コーラ vs ペプシ
Mac vs Windows
味噌ラーメン vs 醤油ラーメン
デザインAのTシャツ vs デザインBのTシャツ
これらは、機能的にはほとんど同じですが、人によって「好き・嫌い」「好みに合う・合わない」で選ばれます。
Web制作の現場で例えると:
色合いがポップか、シックか
写真中心のデザインか、テキスト中心のデザインか
SNSで拡散されやすい表現か、企業ブランド重視の表現か
これらも明確な優劣はありませんが、ターゲットの趣味嗜好に応じて選択されます。
垂直的差別化とは?
一方、垂直的差別化とは「品質・性能・価格など、明確な上下関係がある違い」です。
簡単に言うと、「高い方がいい(または悪い)」という評価が存在する差です。
例えば:
iPhone Pro vs iPhone SE
フルHDのモニター vs 4Kモニター
オーガニック素材のパン vs 通常のパン
料金が高いけど高機能なSaaS vs シンプルで安価なSaaS
垂直的差別化は、同じカテゴリの中で「良い」「悪い」「高性能」「低価格」といった“指標”で比較されるため、競合との優位性を築きやすい反面、模倣されたり価格競争に陥ったりしやすいというデメリットもあります。
なぜこの違いを知っておくべきか?
ウェブ制作・マーケティングにおいて、水平と垂直の差別化を混同すると、方向性を見誤る可能性があります。
たとえば:
水平的差別化の商品に「機能アップ」を施しても、顧客の評価は変わらないかもしれない。
垂直的差別化を狙うのに「デザイン変更」だけでは、価値向上として伝わらない。
つまり、「どの軸で勝負するのか?」を明確にしなければ、効果的な施策にはつながりません。
実際のWebディレクションにどう活かすか
以下のように活用することができます:
コンテンツ設計:
水平的差別化を狙うなら、「ブランドの世界観」や「共感」を重視した構成を。
垂直的差別化なら、「スペックの比較表」や「効果実証」など客観性ある構成を。
コピーライティング:
水平的差別化では「あなたらしさ」や「感性への訴求」が有効。
垂直的差別化では「業界No.1」「導入社数10,000社」など実績訴求が有効。
SEO/広告:
垂直的差別化は「高品質」「高性能」など具体的キーワードが刺さりやすい。
水平的差別化は「かわいい」「かっこいい」「こだわり」など感性的ワードが有効。
まとめ:水平と垂直、どちらの軸で戦うか?
差別化の本質は「どうすれば顧客の頭の中で“選択肢のひとつ”として覚えてもらえるか」にあります。
水平的差別化 → 「感性・好み」で選ばれる
垂直的差別化 → 「品質・性能」で選ばれる
自社の商品やサービス、ウェブサイトが「どの差別化に依拠しているのか」を見極め、それに合った戦略を展開することが、成果につながる第一歩です。
方向性が定まれば、コンテンツ制作も、広告戦略も、UX設計も、より一貫したものになります。
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