私たちが何か行動を起こすとき、その行動の裏にはどんな考えや心理が働いているのでしょうか? 例えば、ダイエットをしようと決めたのに、つい甘いスイーツに手を伸ばしてしまうことがあります。これは意志が弱いせいなのでしょうか? それとも、そもそも私たちの行動には「合理的な理由」があるのでしょうか?
今回は、心理学と行動科学の世界でよく使われる「合理的行為モデル(Reasoned Action Model)」についてわかりやすく解説していきます。
1. 合理的行為モデルとは?
合理的行為モデル(Theory of Reasoned Action、TRA)は、心理学者のマーティン・フィッシュバインとアイゼン・アジェンによって提唱された理論で、**「人は合理的な理由にもとづいて行動する」**という考え方に基づいています。
このモデルでは、ある行動を取るかどうかは 「行動意図(Behavioral Intention)」 によって決まるとされています。そして、その行動意図は次の2つの要素から影響を受けます。
1️⃣ 態度(Attitude):その行動に対して、どれくらいポジティブまたはネガティブに感じるか
2️⃣ 主観的規範(Subjective Norm):周りの人(家族、友人、社会)がその行動をどう評価するか
つまり、「やる気があるかどうか(態度)」 と 「周りの目を気にするかどうか(主観的規範)」 が行動を決定するというわけです。
2. 具体例で考えてみる
例えば、「毎朝ランニングをする」という行動を考えてみましょう。
✅ 態度(Attitude)
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「運動すると健康にいいし、気分がスッキリする」→ ポジティブな態度
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「朝早く起きるのは面倒くさい」→ ネガティブな態度
✅ 主観的規範(Subjective Norm)
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「友達がランニングを習慣にしていて、私にも勧めてくる」→ プラスの影響
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「家族は特に運動に興味がなく、私がやる必要もないと言っている」→ マイナスの影響
この2つを総合的に考えた結果、「よし、ランニングを始めよう!」 という行動意図が強くなれば、実際に行動する可能性が高まるというわけです。
3. 「合理的」だけど、実はそうでもない?
一見すると「人は合理的に行動する」と言われると納得しそうですが、実際にはそう簡単ではありません。
🛑 合理的行為モデルの限界
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「意思はあっても行動しない」問題 → ダイエットをしようと思っても、甘いものを食べてしまう
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「感情が行動を左右する」問題 → 友達と一緒にいたら、つい流されて食べ過ぎる
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「習慣や環境の影響が強い」問題 → いつも同じ時間に食べる習慣ができている
そこで、このモデルをさらに発展させたのが**「計画的行動理論(Theory of Planned Behavior、TPB)」です。これは「行動のコントロール感」**(=自分で行動をコントロールできるかどうか)を加えたものです。
例えば、
「ジムに通いたいけど、近くにジムがない」
「ランニングしたいけど、天気が悪い」
こういった外的要因が行動の決定に影響を与えることを考慮に入れたのが、計画的行動理論です。
4. 企業のマーケティングにも応用できる!
この合理的行為モデルは、企業のマーケティング戦略にも活用されています。
例えば、ある商品を買ってもらいたいとき、消費者の行動意図を高めるためには以下のポイントを押さえる必要があります。
✅ 1. 態度(Attitude)をポジティブにする
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「この商品はあなたの生活を豊かにします!」とメリットを強調する
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口コミやレビューを使って「使った人が満足している」とアピールする
📌 例:ダイエット食品のCM
「このサプリを飲めば、運動しなくても楽に痩せられます!」というメッセージを打ち出すことで、ポジティブな態度を引き出す。
✅ 2. 主観的規範(Subjective Norm)を強化する
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「みんなが使っている」という社会的証明を示す(例:愛用者の声、売上No.1など)
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インフルエンサーや有名人を起用し、「これを使っているのが当たり前」という空気を作る
📌 例:iPhoneのマーケティング
「あなたの周りの人もiPhoneを使っていますよね?」という暗黙のメッセージを発信し、主観的規範を強める。
5. まとめ:合理的行為モデルを理解して行動をデザインしよう
🔹 合理的行為モデルとは?
→ 「行動意図」が「態度」と「主観的規範」によって決まるという理論
🔹 でも、現実はもっと複雑!
→ 感情や習慣、環境などの要因も影響する(これを考慮したのが計画的行動理論)
🔹 マーケティングにも活用できる!
→ ポジティブな態度を作り、社会的な影響を強めることで購買意欲を高める
日常生活の中でも、「なぜ自分はこの行動をとるのか?」と考えてみると、意外とこのモデルが当てはまることに気づくかもしれません。企業戦略から個人の行動変容まで、合理的行為モデルをうまく活用していきましょう!
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