今更ながらにチ。のアニメを全部観ました。
最初の2話まで観て、これはめちゃくちゃ面白い!と思い、嫁さんといっしょに観ようとストップして
嫁さんと一緒にもう一度最初から観始めたら速攻で爆睡された笑
それから、数カ月後、全エピソードが揃った段階で一気に観ました。
【ここからネタバレ含みますので、観てない人は注意!】
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かなり難解な言葉のやりとりが続く、大人向けのアニメではありますが、
哲学や知性をテーマにしたこうした硬派な題材がアニメになりヒットする時代って素晴らしいなと感じました。
地動説という新説を信じるだけで、あっけなく処刑されてしまう時代で、それでも信念を持って伝え続けていく登場人物には現代では失われてしまったように感じる知に対する狭義のようなものを感じました。
感情移入したキャラクターがどんどんいなくなってしまう辛い展開が多いのですが、その中でもノヴァクとヨレンタ親子の物語は娘のいる僕としては辛すぎて、、、、
最初はホラー映画ってくらい恐ろしい恐怖の象徴だったノヴァクは物語が進むに連れ、
ただただ、娘を溺愛する父親で、生きていくために心を殺して仕事を続ける一人の人間であることが分かってきます。
ヨレンタが処刑されたと偽装されてから、シゴデキおじさんから飲んだくれジジィに落ちていく感じとか
「あぁ娘が人生の全てだったんだなぁ」と思わせたし、
抑え込んだ地動説がまた復活したと分かった瞬間、娘の敵討ちができるとシゴデキジジィになってしまう辺りとか序盤の恐怖から転じて愛おしさすら感じてしまう。(その敵対勢力のリーダーが娘なんですけどね)
通常の漫画なら、ここで親子は再会し、娘と父が和解し敵が仲間になる的なアツい展開を期待してしまいますが
この作者は父は娘の顔も見る前に「娘を大自爆させる」という残酷すぎる展開を持ってきます。
ヨレンタは最後の瞬間、夜空に今までの回想を浮かべるんですが、それがノヴァクとの日々というのがもう辛すぎて、目の前にいるのに。
そして爆発の後、ノヴァクは一言「今、一瞬、、、、」と口にして、飛んできたヨレンタの手を握ります。
この壮絶なシーンをよく思いついたなと。そしてこのシーンは最後の伏線にもなっています。
ノヴァクのラストは、信じていた教会にも裏切られアイデンティティがボロボロになった状態で、自らの犯してきた罪の懺悔を行います。
その時に、ふいに爆発で飛んできたヨレンタの手を取り出し、肌見放さず持ち歩いてきたヨレンタの形見の手袋をはめます。
そして、ノヴァクはその手はヨレンタの手だということを悟ります(おそらく自爆の時点で薄々気づいていたけど目を背けていたのかなと、じゃないと手を持ってこないだろうし)
そして神に赦しを乞います。しかしそれは自分のためではなく娘がどうか天国に行けるようにと願うことでした。
本作最大の悪役であると同時に、とても優しい娘を溺愛する一人の父親だったノヴァクは最高の悪役だと思います。
本作内で唯一、横断的に物語に登場したキャラクターであると同時に反知性の象徴として存在しつづけたキャラクターであり、
このラストを持って、チ。の中で一番好きなキャラクターになりました。
もう少し子どもたちが大きくなったら一緒に観たいな。
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