はじめてのゴールドジム

世の中に数え切れないほど存在するフィットネスジム。

 

体力をつけたい人
フィットネスで引き締めたい人
体を鍛えてかっこいい体になりたい人
そんな目的で入ることが多い。

 

ゴールドジム。
ここは例えるならジム界の東大。
ガチムチが日々己の肉体を限界まで鍛え抜く筋肉の楽園。

 

つい先日
ゴールドジムに通っている友人から連絡があった。
「のだくん、ゴールドジムに無料で1日体験できるんだけど来る?」

 

 

 
「アイムマッスル」
僕は即答した

 

 

当日
街中にあるゴールドジムに行くために
近くの有料駐車場に車を止め友人に連絡した。

 

 

「先にトレーニングしているから入ってきてくれ」

 

 

 

そう、彼は約束の1時間前にジムに入りトレーニングを開始していた。
生粋のマッスルボーイだ。

 

 

 

ジムに入ると可愛らしい受付の女性いた。
彼女は受付業務をこなしつつ
ひっきりなしに訪れるマッスラー達にプロティンを提供していた。
普通に生きていたら見られない光景である。

 

 

マッスラー
プロテイン
マッスラー
プロテイン
マッスラー

 

 

 

彼らはタンパク質の集合体であるプロテインを
実に嬉しそうに飲んでいる。

 

 

 

僕に気づいた受付の子は
簡単な説明のあと
「ロッカールームはインストラクターが案内しますのでしばらくお待ち下さい」
と告げた。

 

 

 

僕は静々とマッスラーとプロテインのルーティンを眺めていた。

 

「お待たせしました」

 

僕の前に現れた男は
明らかに人間離れした肩幅であった。

5449f25d
一言で言えば正方形。

縦横比5:5である。

 

 

「ロッカールームはこちらです」

 

 

後ろをついて行きながら
彼がドアを通る度に
「つっかえたら面白いのになー」
なんて思っていた。

 

それほどの肩幅であった。
間違いなく日常生活に支障がでるレベルだ。

 

 

ロッカーで着替えた僕は
友人とトレーニングを始めた。

 

 

週6でゴールドジムに通う友人は
自分の家のようにジム内を知り尽くしていた。

 

 

コンサル業を生業としている彼は
トレーニングもとてもロジカルだ。

 

 

 

「今日は上半身を追い込もうか」

友人はそういうと
デットリフトというトレーニングを始めた。

 

初めて十数分で僕の背筋はぶっ壊れた。
追い込まれてうつ病の新入社員みたいになった。

 

 

そしてまだまだ元気な友人は
「次は胸を追い込もう」

 

 

そういうと颯爽とベンチプレス台へ向かった。
10キロから始まり
徐々に重くなっていく重量。
60キロに達した時であった。

 

 

(タ、タスケ、テ、、)

 

 

胸筋の声が聞こえた気がした。

 

 

 

全く胸に力が入らなくなり僕の意志とは反して勝手に
胸がピクピクと動く。

 

 

友人は時間と共に生き生きとジム内の様々なトレーニングを行う。
彼は7時から2時間ほぼ毎日このトレーニングを行っているそうだ。

 

 

まわりを見渡すと
おじいさん、外人さん、ギャル、ガチムチ・・・
多種多様な人が一心不乱にトレーニングをしている。

 

 

僕のとなりにいた
メガネをかけた優しそうな顔をした若者は
満面の笑みで鏡の前で筋肉の確認をしていた。
顔と体のギャップがありすぎて
Photoshopで無理矢理合成したみたいだった。

 

 

彼は、人が通る度に
「オツカレサマデェスッ!」
と発していた。

 

 

ベンチで追い込んだ僕は
途中から友人の話している内容も分からなくなった
「コノトレーニングハスタビライザーガキョウカサレルカラネ」

 

 

 

2時間ガッツリトレーニングが終わり
友人がプロティンを奢ってくれた。
ゴールドジムでは食券を買いプロテインバーでプロテインを作ってもらえるシステムなのだ。

よく冷えたプロテインを口にした時だった。

 

 

 

(アリガトウ)

 

筋肉の声が聞こえた。

 

 

 

 

ギリギリまで追い込んだ時にだけ聴こえる筋肉の声。
筋肉は友達。

 

 

そう、僕はタンパク質と一緒に友人から無言のメッセージを受け取ったんだ。

 

友人に感謝を告げ
僕はジムを後にした。

 

 

とても晴れ晴れとした気分で
車にのった。
今日の昼ごはんは肉を食べよう!
きっと筋肉も同じ気持ちだろう!

 

 

 

 

駐車場を出ようとしたその時だった。

 

 
「駐車券がない」

 

 

 

 

 

 

どこを探してもない。
僕が筋肉に夢中になっている間に紛失してしまった。

 

 

 

 

どうしようもないので
「紛失ボタン」を押した。

 

 

 

 

 

 

「料金は150000円です」

 

 

 

 

 

 

 

そう。世の中には筋肉で解決できないことが沢山あるのです。

 

 

 

 

 

※ちなみに管理会社に電話したら監視カメラで入庫を確認してくれて正規料金で大丈夫でした。(高額なのは悪質な人向けらしいです。)

 

 

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