むかしむかし。
たぶん小学校低学年の頃、僕は急に犬を飼いたくなった。
犬の本を買って、ずっと読み続けた。
「飼えない」と言われるのが怖くて親には中々話せなかった。
それを見越してか、ある日母から告げられた。
「うちではワンちゃんは飼えないのよ」
いまになってみれば、当たり前だ。
賃貸だし、家計にそんな余裕もないし。
その日から犬の本を読むのをやめた。悲しくなるから。
そうして時は過ぎ、
家を買って、子供も生まれた。
僕は思った
「あれ、、、犬飼えるんじゃないか?」
そして子供の頃のようにワンちゃんについて調べた。
すると子供の頃には分からなかった大変さが次から次に判明した。
まず、一番に想像以上にお金がかかる
今はペットブームらしくチワワの子犬が30万円超えとかザラだ。
更にペットショップの保証やオプションがついて50万を軽く超えた。
そして見越したように無金利ローンの表示が目に止まった。
なんか衝動飼いを狙ってるようで嫌だった。
もやもやしつつも暇があればペットショップに寄って色んなワンちゃんを見た。
そして、あることに気付いた。
子犬の頃には数十万するんだけど
ちょっと大きくなると驚きの安さに下がる。
30万が5万くらいに暴落するのだ。(MAXで15000円のワンコもいた)
別に成犬ってわけじゃない。
5ヶ月くらいの子犬だ。
調べると「かわいい子犬の内しか売れない」のが原因だそうだ。
なんかすごく悲しい気持ちになった。
しかも5万円のワンちゃんはそれでも売れてなかった。
そもそもペットの需要を完璧に見越した供給なんて無理で、売れやすい期限が三ヶ月くらいだ。
成犬になってしまったら管理コストは跳ね上がる。
売れ残ったワンちゃんはいったいどこにいくのだろう?
いつの間にか、ペットショップに行くのがつらくなった。
そんな中、近くで動物愛護団体の譲渡会があった。
保護犬の存在は知っていたけど、山とかで捕まった野良犬や飼い主が高齢で引取先のいない老犬のイメージが強かった。
でも、行ってみると違った。
かわいい子犬も、人懐っこい1歳くらいのワンちゃんもいた。
そして何より、愛護センターの人たちがすごく親切で本当に一匹一匹の幸せを願って活動しているのを感じた。
そのときに、ワンちゃんを飼うなら保護犬にしたいなと思った。
それから、ネットに公開されている保護犬の情報を嫁さんと毎日のように見た。
そして出会ったのがこの子。
お母さんは天草の山で保護されて、この子は動物愛護センターで生まれたそうだ。
4月に家族になったのでエイプリルからお尻だけもらって「リル」と名付けた。
最初は色んな音を怖がって、新しい世界に怯えていたけど
夜には慣れてきて、家族みんなで遊んだ。
あの頃の僕より100倍くらい生き物が好きな娘はリルを安心させるために自らも犬になりきっていた。
幼稚園児の頃は犬も怖がっていた息子も楽しそうに遊んでいる。
ソファーに座ってたら足元に来て、気づけばすやすや寝ているリルを眺めていると
犬の本を食い入るように読んでた子供の頃を思い出した。
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